自分たちで小さな作業道をつくり、危険な木を取り除いたり笹を刈ったり、手入れして明るくなった森に人が来てくれるのはとても嬉しい。来てくれるのが森に縁遠い人であればあるほどそうだ。

 令和5年から都市部の高校生の森林体験を受け入れている。修学旅行で北海道にやって来た子どもたちが我が家に泊まって森林散策や林業体験をする。一緒に薪割りやキノコ採りをしたり、軽トラの荷台に載って森林散策したりと、楽しんでもらうことを第一にした内容にしている。

 1グループ4人で年間5~10グループほどがわが家へやってくる。グループによって滞在時間はさまざまでに一日たっぷり林業体験していくグループもあれば、小一時間しかないこともある。そんなときでも、少しでも彼らと一緒に森に行きたいと考えている。

 森の手入れやキノコ取りなどを森でちょっとした林業体験や採取体験をできれば一番だが、そんな時間がないときは私たちが持っている数十メートル四方の小さい森を散策してもらうことにしている。小さいカラマツ林だが、1周100mくらいの作業道をめぐらしてあり、格好よくはないがツリーテラスもある。おそるおそる手作りの木製梯子を登って、高さ3メートル弱の高さにあるテラスに立つと、下からみた森とは違った眺めを味わうことができる。高校生もキャーキャーいいながらテラスを楽しんでくれる。

 薪割りやたき火など、家のまわりでできる林業体験もいろいろあるが、それだけでは何かが足りないと感じる。

 日本は67%を森林が占めていて山林を切り開いて通した舗装路もそこかしこにあるけれど、そこを車で走り抜けても森の中に入った感覚にはならない。生身の身体で木々に包まれている感覚を味わって欲しいのだ。

 森の中に入るという体験は現代人の多くにとっては非日常である。森林は沢山の生命がうごめく場所で、何十年の時間の重みを目の前の光景として映し出してくれる場所。物質循環を感じる場所でもある。森に行くことにこだわっているのは、何かを森から感じで欲しいと思っているからだ。

 高校生たちは森で遊んだり林業をして楽しかったといって帰っていく。楽しかった思い出や森のなかに入ったときの感覚が、その後の彼等の人生のどこかでよみがえり、何らかの影響を与えるかもしれない。そんなことを思いながら、高校生を森に案内している。