3年間、林業に取り組んできて思うのは、自伐型林業のスタイルは私たちにとても合っているということです。私は自然が好きですが、大きな林業会社で働いたとしてもきっと続かなかっただろうと思います。

私たちは、1年の大半は夫婦二人だけで施業しています。時間を柔軟に使えること、自分たちで施業を計画することができます。自分でやると決めたことなので、体力的にきつい仕事でも主体的に働けます。もし大きな組織で働いていて工程の全体像を把握することが難しい立場であったら、同じ仕事であってもやりとげるのに相当な忍耐力を要する気がします。私たちは経営規模が家族単位なので主体的に働ける環境が前提になっています。時には、他の林業家と一緒に働くこともありますが、フラットな関係で互いに協力し合うことを目的にしており、情報交換の場にもなりとても楽しく働けます。自営業者や農家も同じような働きかたになると思うのですが、やはり経営規模の単位が小さいことで自律的な働き方をしやすいと思います。小さな単位で経営し、必要があれば集まって協働するかたちは、人が生き生きと働くために理想的なのではないかと思います。

また、自伐型林業は、ただ材を出せばよいわけではありません。小規模だと木材流通の既存のルートにはなかなか乗せにくいので、自分たちで商品づくりや販路開拓する必要があります。自分で薪にしたり、製材加工することで付加価値をあげることもできます。自分たちでアイデアを出して、材から最終商品まで六次化することで楽しい商品を生み出すことができお客さまから直接反応ももらえてとてもやりがいがでます。私たちは薪や板、木工、野草茶など様々な商品を組み合わせていますが、色んな事をできる楽しさがあります。

施業自体も創意工夫、つまり状況に応じてなんとかする力が必要です。山林は地形も土壌も多様で、道づくりひとつとっても一筋縄にはいきません。よく観察したり、試行錯誤していくことが重要になります。木材の搬出にしても、道に幹がかかるように倒したとして、ユンボやグラップルがあればいいですがこれらは高価なのでリースしており、間伐時にユンボがあるとは限りません。ではどうやって出すのか。私たちは短く切って手で出すことからはじめ、エンジンウィンチを使ったり、トラクタとロープを使ったり、固雪のときはスノーモービルを使ったりと状況に応じていろんな方法を使います。自然を相手にすると、画一的な方法では対処できないことが多く、効率の悪い方法を選んでしまうこともありますが、その失敗は次に生かしていけるので毎回学ぶことが多くて飽きません。

 高性能林業機械を使ったスマート林業の分野も進化していますが、斜度が緩くてある程度まとまった森林、しかも材の質もある程度のレベルを超えている場合であって、複雑な地形の場合や、面積が小さい場合、放置されて質のばらばらな材が生えている場合などでは効率が悪く収支が合いません。そういう状況ではコストを抑えた自伐型林業のやり方が合っています。スマート林業の分野の進化と自伐型林業の広がりが同時にみられるのは、木材の生産工程で効率化を進めようと思っても必ずしも思う通りにはいかない自然そのものの特質をあらわしていて興味深いです。

 前回と今回でここまで自伐型林業について私の思うところをお話してきましたが、自伐型林業はやはり小さい林業であって、日本において木材生産の主流になることは現状はないと思います。近年盛んになっている国産材の需要に対応するにはやはり大型の機械を使って一斉に伐って運び出す工程がなくては厳しいと思います。小さい林業である自伐型林業を営む人びとはニッチな市場を探したり、創意工夫をして新たな商品を生みだしたりして、林業以外の収入源とも組み合わせながら、自分のペースで森との付き合いを楽しむのが良いのではないでしょうか。