今回は自伐型林業についての私なりの理解についてお話ししたいと思います。
自伐型林業は地域活性化につながると注目され、日本各地でたくさんの取組がはじまっています。市町村が地域おこし協力隊の制度を利用して自伐型林業の人材を育成し、地域の森林活用を目指す場合もありますし、ある個人が自伐型林業の可能性を知って、周りの人を巻き込んで活動がひろがる場合もあります。
自伐型林業は「型」という文字が入っていますが、「型」を抜いた自伐林業という言葉もあります。自伐林業が意味するところは自分の山を自らの手で管理したり材を出したりする林業であり、かつては当たり前に行われていたものです。組合等に管理を任せるのが一般化して自伐林業がむしろマイナーになった現在において、その森づくりの方法が見直され、他者の山林や公共の山林を管理する場合もふくめて自伐型林業を推進する動きが出てきたのです。
自伐型林業の特徴はざっくりと表現するなら、自伐林業の多くがそうであったように高価な林業機械を使わない小さい林業であることです。幅2メートルほどの小規模な林道をつけて、軽トラックや林内作業者など小型の車両で木材を搬出するやり方は多くの自伐型林業者が実践しています。それはこの小規模林道が、コストの面でとても理に適っているからです。1ヘクタールあたり400メートルの道をはりめぐらせると、低密度でしか道が付いていない山よりも搬出コストが下がると言われます。25m間隔で平行に道がついていれば木を伐倒したときに、谷側か山側の道に必ず幹が届き搬出作業が格段にやりやすくなるからです。
道の幅を狭くすることで、山林環境の改変を少なくでき水源涵養機能を損ねないことや、風が通りにくく風倒木などが出にくいことなどの環境面のメリットもあると言われ、環境保全に関心の高い人が自伐型林業をはじめることも多々あります。

自伐型林業のもう一つの特徴として多間伐施業をあげる人もいます。皆伐(ある場所に育った木を一度に一気に伐採すること)をせず10年から数十年の間隔で間伐をくりかえします。これは、小規模でコストの低い方法を採用している自伐型林業では、間伐材も収入につなげることができるため、しっかり間伐をおこないつつ将来性のある木を大径木に育てる施業になるのです。森林全体を育てながら、材を利用して収入も得ることができ、ある人が生きている間に一つの山林から繰り返し収穫を得ることができるので、森を育てるモチベーションも上がります。私の場合は、道をつけて間伐をしているうちにだんだんとその山に対する愛着も沸いてきます。
このように自伐型林業は、小規模林道と多間伐施業の二つの特徴をもち、最低限、チェンソーと軽トラックなどの車があれば、道づくりためのユンボはリースしつつ、森林を管理して木をお金にかえるところまでもっていける、つまり低コストで始められて個人で収益化可能な林業なのです。ただし、自伐型林業という名称が広まる前から、このような方法で森づくりをしていきた人たちも多くいますし、同様の方法でやっていてもあえて自伐型林業という名称を使わない方々も多くいます。自伐型林業という名を使わなくてもいいのですが、あえて使うことで良いことがあるとすれば小さな林業者同士のつながりをつくりやすいことだと思います。施業方法や市場について情報交換もできますし、仲間がいると先の見えない不安が期待や楽しさに変わります。
さて、ここまで述べてきた自伐型林業がなぜ地域活性化と結びつくのか。それは日本の林業の現状と関係しています。日本では輸入材におされ木材価格が長らく低迷しており、間伐材を出しても赤字になることから、管理されないで放置される森林が多くみられます。また林業は重労働で人材も不足して高齢化が進んできました。このような状況で搬出コストの低い自伐型林業なら間伐材も赤字にならずに利用でき、またチェンソーと軽トラで始められるので農業やその他仕事の副業としてやってみようとする動きも出てきたのです。日本の農村地域は、過疎化が進んでいます。その要因のひとつは地域に仕事がないこと、つまり収入源がないためです。自伐型林業のやり方で、放置されている山林に手を入れれば、材をそのまま売って収入をえることもできますし、加工してあらたな商品開発も考えられます。スケールの小さい林業ではありますが、個人レベル、集落レベルで地域の課題に取り組めるということで大きな期待が寄せられているのです。
次回は、私たちにとっての自伐型林業の魅力についてお話します。
